日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
高齢男性にみられた十二指腸浸潤を伴う膵solid-pseudopapillary neoplasmの1例
細川 勇一加藤 祐一郎小西 大高橋 進一郎木下 敬弘後藤田 直人小嶋 基寛木下 平
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2012 年 45 巻 6 号 p. 630-636

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抄録

 膵solid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)は若年女性に好発する比較的まれな腫瘍であり,高齢の男性例は非常にまれである.今回,我々は高齢男性の膵SPN症例を経験したので報告する.症例は73歳の男性で,上部消化管透視にて異常を指摘され当院受診となった.上部消化管内視鏡検査では,胃体下部小彎に早期胃癌を認めた.CTでは,膵頭部に液状成分と実質成分が混在する4.5cm大のlow density massを認めた.MRIのT1およびT2強調画像で,腫瘍内容はhigh intensityを示した.以上より早期胃癌および膵頭部SPNと診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.組織診断では胃病変は高分化型腺癌(T1N0M0,stage IA)であり,膵病変は十二指腸壁への浸潤を有する膵SPNと診断した.術後,膵液瘻を認めたが保存的に軽快し,術後1年6か月現在,無再発生存中である.

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