日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
囊胞壁にFDG-PETの異常集積を認めたIntraductal Papillary Mucinous Carcinomaの1例
橋口 真征新地 洋之前村 公成又木 雄弘蔵原 弘上野 真一迫田 雅彦飯野 聡高尾 尊身夏越 祥次
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2012 年 45 巻 6 号 p. 637-643

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抄録

 症例は60歳男性で,肝機能障害の精査目的に腹部造影CTを施行し,膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断された.半年後の造影CTで,著明な囊胞壁の肥厚が見られ,FDG-PETで肥厚囊胞壁に一致したリング状の異常集積が認められた.膵管内乳頭粘液性腺癌の診断で,膵頭十二指腸切除を施行した.病理学的診断では囊胞壁内面は異型上皮細胞からなり,一部で膵組織への浸潤がみられ,膵管内乳頭粘液性腺癌(minimally-invasive)と診断された.FDG-PETの集積がみられた壁肥厚部の一部で管状腺癌の浸潤を認め,他の大部分はリンパ球主体の炎症細胞浸潤を伴う厚い線維結合組織であった.FDG-PETは炎症による壁肥厚部位へ集積したと推測された.膵管内乳頭粘液性腺癌のPETの診断を中心に,若干の文献的考察を加え報告する.

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