日本消化器外科学会雑誌
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臨床経験
von Willebrand病患者に発生した肝細胞癌の1切除例
石井 文規山内 靖乗富 智明石塚 賢治林 博之鍋島 一樹山下 裕一
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キーワード: von Willebrand病, 肝切除, APTT
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2013 年 46 巻 10 号 p. 791-797

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抄録
 症例は59歳の女性で,幼少時より鼻出血を繰り返し,数回の赤血球輸血を受けていた.9年前より慢性C型肝炎を指摘され近医で経過観察されていた.今回,肝S6に径4 cm大の腫瘍を指摘され当科紹介となった.家族歴と血液検査結果よりvon Willebrand病(von Willebrand disease;以下,vWDと略記)患者に発生した肝細胞癌と診断した.凝固因子補充療法のガイドラインに従い,activated partial thromboplastin time(APTT)を指標として血液凝固第VIII因子(blood clotting factor VIII;以下,F VIIIと略記)製剤の投与後に肝部分切除術を施行した.術後第1病日より8日間のF VIII製剤の補充を行い,術後経過良好にて第13病日に退院となった.v WD病患者においてもF VIII製剤の補充を行うことで安全に肝切除を施行した症例を報告する.
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