2013 年 46 巻 3 号 p. 203-209
症例は46歳の女性で,腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞の診断でイレウス管が挿入された.原因不明で,症状が改善しないため入院加療後12日目に当院紹介となり,手術を施行した.腹腔鏡で観察すると,回腸が上行結腸に強固に癒着していたため,閉塞解除が困難で原因の診断も困難であった.開腹に移行し,回盲部切除と上行結腸との癒着小腸を部分切除した.摘出標本と病理組織学的診断で上行結腸の腸間膜付着部異常窩に小腸が嵌頓した内ヘルニアと診断した.術後は順調に経過し術後第14病日に退院した.上行結腸間膜に生じた異常窩に小腸が嵌頓したまれな内ヘルニアの1例を経験したので文献考察を踏まえ報告する.