日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
孤立性膵癌肺転移の2切除例
砂川 真輝磯谷 正敏原田 徹金岡 祐次亀井 桂太郎前田 敦行高山 祐一
著者情報
キーワード: 膵癌, 肺転移, 外科治療
ジャーナル フリー HTML

2013 年 46 巻 9 号 p. 678-685

詳細
抄録

 膵癌根治切除後の孤立性膵癌肺転移に対し肺切除を施行したので報告する.症例1は79歳の女性で,膵体部癌に対して膵体尾部脾合併切除および左副腎合併切除を施行した(pT4N0M0 Stage IVa).術後20か月で右上葉および下葉に計3か所の肺転移を認め,胸腔鏡下肺部分切除を施行した.病理組織学的に膵癌肺転移の診断であった.肺切除後再肺転移および骨転移を来したが,肺切除後18か月の現在生存中である.症例2は52歳の男性で,膵頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した(pT3N1M0 Stage III).術後54か月で右上葉および右下葉に計2か所の肺転移を認めた.右上葉およびS6区域切除を施行した.病理組織学的に膵癌の肺転移と診断された.肺切除後に多発脳転移を来し,肺切除後12か月で永眠した.膵癌肺転移に対し癌遺残のない切除が可能な場合,切除を行うことが予後の改善に寄与する可能性があると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top