日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
腸重積を来した回腸pyogenic granulomaの1手術例
武田 光正中島 紳太郎宇野 能子衛藤 謙小村 伸朗澤田 亮一加藤 智弘田尻 久雄池上 雅博矢永 勝彦
著者情報
キーワード: pyogenic granuloma, 腸重積, 回腸
ジャーナル フリー HTML

2015 年 48 巻 1 号 p. 46-52

詳細
抄録

 症例は67歳の女性で,下血の精査目的に他院で上部および下部消化管内視鏡検査が施行されたが異常所見を認めなかった.当院でカプセル内視鏡を施行したところ回腸に易出血性の隆起性病変を認め,質的診断の目的で小腸内視鏡検査を予定していたが,腹部CTで回腸遠位部から上行結腸に重積を認めていたため外科的切除を行った.開腹したところ,回腸が約10 cm上行結腸に重積し,用手整復を試みたが困難であったため回盲部切除を施行した.摘出標本で終末回腸に20 mm大の隆起性病変を認め,これが先進部となって重積を発症したと判断した.病理組織学的検査で回腸pyogenic granulomaの診断に至った.Pyogenic granulomaは皮膚や口腔粘膜に好発するが,消化管に発生することは極めてまれであり,これによる腸重積の報告は和文・英文を合わせて4例目であった.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top