2015 年 48 巻 12 号 p. 977-983
症例は49歳の男性で,胃検診で異常を認めたため精査を行ったところCTで胃大彎側のリンパ節腫大を伴う胃前庭部大彎と連続した12×8 cmの腫瘤を認めた.胃由来のgastrointestinal stromal cell tumor(以下,GISTと略記)の診断で手術を施行した.腫瘍は胃前庭部大彎より発生しており,右胃大網静脈領域(No6およびNo14v)のリンパ節腫大を認めた.リンパ節を術中迅速診断に提出したところCastleman病(Castleman’s disease;以下,CDと略記)の診断であったため胃局所切除術を行って手術を終了した.術後4か月後のCTでは再発所見を認めずリンパ節は消失していた.CDはリンパ濾胞の過形成に加え形質細胞が濾胞間に多数浸潤する組織所見を有する原因不明のリンパ増殖性疾患である.CDを合併したGISTの症例はこれまで報告がない.