日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
後腹膜原発Müller管囊胞の1切除例
林 忠毅矢田 達朗西脇 由朗中村 明子大菊 正人藤田 剛田村 浩章平山 一久金井 俊和池松 禎人
著者情報
キーワード: Müller管囊胞, 後腹膜
ジャーナル フリー HTML

2015 年 48 巻 5 号 p. 429-435

詳細
抄録

 Müller管囊胞はMüller管由来の上皮に覆われた囊胞で,男性骨盤内に好発し,剖検例では1%弱にみられるまれな疾患と報告されている.今回,我々は貧血精査の際に偶然発見された後腹膜原発Müller管囊胞の1例を経験したので報告する.症例は51歳の女性で,受診1年前から易疲労感,左側腹部腫瘤触知を自覚していたが疼痛はなく経過観察していた.その後近医で貧血を指摘され,精査を目的に当院に紹介となった.精査中に偶然腹部CTで左中腹部に径10 cm大の囊胞性腫瘤が指摘された.腫瘤は左結腸動脈の背側に存在し後腹膜腫瘤と診断された.画像上悪性所見はみられず,良性の後腹膜囊胞と判断し開腹腫瘤摘出術を施行した.術後の病理組織学的検査では上皮性の後腹膜原発Müller管囊胞と診断された.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top