日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
原著
大腸癌イレウス症例に対する自己拡張型金属ステントの有用性
山名 大輔笠島 浩行遠山 茂鍵谷 卓司常俊 雄介大橋 大成工藤 大輔原 豊鈴木 伸作木村 純
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2015 年 48 巻 9 号 p. 729-738

詳細
抄録

 目的:大腸癌イレウスに対する緊急手術は,周術期合併症のリスクが高まることが知られている.保存的治療を先行する場合,経鼻・経肛門イレウスチューブ留置による減圧が中心であったが,2012年1月よりself-expandable metallic stent(以下,SEMSと略記)が保険適用となった.当施設における大腸癌イレウス症例に対するSEMSの有用性を評価した.方法:2005年1月から2013年11月までに当科で行われた1,065例の大腸癌手術の内,イレウス症例は286例であった.当施設ではSEMSは横行結腸より肛門側の病変を有する症例に用いており,減圧不要症例・横行結腸より口側の症例は検討から除外した.同期間に条件を満たした大腸癌イレウス症例はSEMS群32例,経肛門イレウスチューブ群27例,緊急手術群39例の計98例であった.各群における背景因子と周術期経過について検討した.結果:SEMS群は経肛門イレウスチューブ群や緊急手術群と比較して,ストーマ造設率が有意に低く,一期的縫合施行率,腹腔鏡手術施行率は有意に高かった.メタ解析にて有意にストーマ造設を回避できると考えられた.結語:SEMS使用によってストーマ造設を回避し,低侵襲かつ根治的手術を行うことが可能になると考えられ,SEMSは大腸癌イレウスに対して有用であると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top