日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
切除不能局所進行食道癌に併発した大動脈食道瘻に対して大動脈ステントグラフトおよび食道カバードステントを留置した1例
池谷 佑樹下山 ライ荻野 秀光磯貝 尚子河内 順
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2019 年 52 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

切除不能局所進行食道癌に対する化学放射線療法は,長期生存が見込める治療であるが,穿孔や穿通などの致死的合併症発症の可能性がある.今回,大動脈浸潤食道癌に対する化学放射線療法中に発症した大動脈食道瘻に対して,大動脈ステントグラフトで止血した症例を経験した.症例は67歳の男性で,2011年8月に嚥下困難で発症し,大動脈浸潤食道癌と診断された.2011年9月から化学放射線療法を施行し,部分奏効した.2012年1月に吐血によるショック状態となり,大動脈食道瘻と診断し,大動脈ステントグラフトで止血した.食道狭窄症状を認めたため,2012年4月食道カバードステントを挿入した.経口摂取が可能になり,自宅退院した.2012年5月,原疾患が進行し死亡した.大動脈食道瘻は致死的であるが,大動脈ステントグラフトによって急性期救命され,経口摂取が可能になったため,低侵襲で効果的な姑息的治療であると思われた.

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