日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前診断に苦慮した胆囊管原発神経鞘腫の1例
馬場 健太佐々木 秀新原 健介田崎 達也杉山 陽一香山 茂平臺丸 裕中光 篤志
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キーワード: 神経鞘腫, 胆囊管, FDG-PET
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2019 年 52 巻 10 号 p. 572-581

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抄録

症例は52歳の女性で,検診で乳癌を指摘され当院乳腺外科を受診し,腹部超音波検査で肝門部腫瘤を指摘された.CT,MRIにて胆囊管に隣接する20 mm大の腫瘤を認め,FDG-PETでは腫瘤に一致してSUV max 3.5の異常集積を認めた.ERCPでは胆囊管に圧排像を認めるも途絶はなく,胆囊内に造影剤の流入を認めた.胆囊管癌としては画像所見が非典型的であり,鑑別として胆囊・胆囊管原発の非上皮性腫瘍,リンパ節腫大などを考えたが,悪性疾患の可能性が否定できず胆囊摘出・肝外胆管切除術,肝管空腸吻合術を施行した.肉眼所見では胆囊管より突出した境界明瞭な充実性腫瘤であった.組織学的には胆囊管の粘膜下から漿膜面までの間に発生した腫瘍であり,紡錘形細胞の柵状配列を認め,免疫染色検査でS-100蛋白が陽性であった.以上より,胆囊管原発の神経鞘腫と診断した.

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