2020 年 53 巻 11 号 p. 925-931
手術後に手術記録を作成することは,診療録の一部として法律上必要な書類である以外に,手術で知りえた情報を正確に残す意味がある.手術記録は医師のみならず医療スタッフにも広く情報として伝達され,理解される必要がある.手術記録には,術前のkey画像,術者,合併切除臓器や再建方法を含めた過不足ない術式,手術時間,出血量などの手術情報と,文章による手術手順の説明,イラストによる術野の描写を含むことが必須である.イラストは鉛筆による下書きの後に,製図用サインペンで描き,十分な余白に説明を書き込む.きれいな術中写真を並べたとしても,一場面の切り抜き像では臓器全体や臓器同士の重なりの認識が困難であったり,運針などの“動き”を表すことが不可能であり,イラストに勝るものではない.ドレーン挿入部や皮膚切開の位置と長さ,臓器の切離部位も文章で書くより,イラストで示すことで一目瞭然となる.誰もが読みたくなるような手術記録は,医療チームの技術や質の向上につながると考える.