日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
ワイヤーによる小児外傷性十二指腸損傷に対し十二指腸第II部部分切除術を施行した1例
岸田 貴喜杉本 博行大津 智尚小林 大悟横山 裕之望月 能成谷口 健次
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2020 年 53 巻 4 号 p. 336-343

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抄録

外傷性十二指腸損傷はその解剖生理学的要因から,単純縫合閉鎖のみでは高率に縫合不全が発生することが知られており,術式には種々の工夫を要する.今回,ワイヤーによる小児外傷性十二指腸損傷に対して十二指腸第II部部分切除術を施行した1例を経験したので報告する.症例は14歳の男児で,テニスの練習中にネットのワイヤーに上腹部を打ち付け当院に救急搬送された.来院時右上腹部に腹膜刺激症状を伴う強い圧痛を認めた.造影CTで外傷性十二指腸損傷,膵損傷を疑い,緊急手術を施行した.術中所見で十二指腸下行脚に亜全周性の長径10 cm弱の穿孔を認めたが,術中施行した膵管造影で主膵管の損傷は認めなかったため十二指腸第II部部分切除術を施行した.外傷性十二指腸損傷は診断や術式選択が容易でなく,術後合併症に難渋する場合がある.患者救命のためには,速やかに診断し,受傷早期に過侵襲とならない適切な手術を施行することが重要である.

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