日本消化器外科学会雑誌
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特別報告
ボールペン画と術中写真を用いた手術記録―すべての手術をイラストにする―
中澤 幸久榊原 巧
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2020 年 53 巻 6 号 p. 542-548

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抄録

一般市中病院において開腹手術の手術記録として手術イラストを毎回作成している.通常のボールペンや色鉛筆を用いて,開腹所見や手術のポイントや流れなどをできるだけ分かりやすく記載している.手術イラストは,①術後できるだけ早く描き始め,②手術書や術中写真などを見ながら正確に記載し,③他医やスタッフに手術の内容が伝わるようになることを工夫し努力している.手術写真は詳細できれいであるが,情報量が多いために術者以外が記録を見たときに重要なことが伝わらない欠点がある.手術イラストは,術中情報を1枚の絵に記載することができるため術者以外の者が後で見ても,その手術の経験を追体験することができると考える.イラストは手術内容を伝えるツールとして不可欠なものだと考える.電子カルテ化された昨今の手術記録は効率的に作成できるようになっているが,手術の上達には,毎回コツコツと手術イラストを描くことが大切である.

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