2020 年 53 巻 8 号 p. 617-626
目的:これまでに我々は本邦における肝移植術後合併症・死亡予測モデルを構築し,2018年11月にNational Clinical Databaseのフィードバック機能として実装した.本研究では,予測モデルに基づいた肝移植支援プログラムについて,肝移植を実施する医療現場での感想を明らかにすることを目的とした.方法:2018年度日本肝移植研究会施設会員全121施設における医師・看護師・コーディネーターを対象として,無記名式アンケート郵送調査を行った.結果:37施設(回収率30.6%)より回答が得られ,内訳は医師数64名,看護師5名,コーディネーター10名であった.医師を対象としたアンケートでは,リスクモデルによる術後合併症予測発生率の妥当性について,「そう思う」が65.6%,「どちらでもない」が28.1%であった.また,症例ごとの合併症予測によりグラフト選択,手術適応の判断および周術期管理に影響があると回答した医師は,それぞれ63%,45%,42%と最多であった.また,患者説明や若手の教育に利用可能であるとの回答は,医師でおよそ60%,看護師・コーディネーターでは100%であった.結語:本研究により,肝移植支援プログラムにおける合併症予測の妥当性は広く認識され,最適な術式の検討に加えて,患者への術前説明,医療者の教育ツールなどへの幅広い活用も可能であることが示された.