日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
大腸癌術後の遠位胆管転移の1例
小川 杏平樋口 亮太谷澤 武久植村 修一郎出雲 渉古川 徹長嶋 洋治山本 雅一江川 裕人
著者情報
キーワード: 大腸癌, 胆管転移, 肝外胆管
ジャーナル オープンアクセス HTML

2022 年 55 巻 11 号 p. 675-683

詳細
抄録

大腸癌の遠位胆管転移はまれな病態である.症例は82歳の男性で,80歳時に上行結腸癌,早期胃癌,転移性肝癌に対して回盲部切除,胃部分切除,左肝切除術を施行した.術後補助化学療法としてベバシズマブを併用したS-1+オキサリプラチン療法を行った.術後2年目の経過観察のために施行した腹部造影CTにて遠位胆管に22 mmの造影効果を有する腫瘤を指摘された.MRCPで同部位に欠損像として描出され,PET/CTではFDGの集積が確認された.ERCP下生検で管状腺癌の診断となり,遠位胆管癌の術前診断に対して幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では35 mm大の乳頭状の腫瘍を認め,病理組織学的に形態と免疫学的染色検査の所見がともに初回の大腸癌の病理所見に一致しており,大腸癌の遠位胆管転移が強く疑われた.術後32か月,術後補助化学療法は行わず経過観察中であるが,無再発生存中である.

Fullsize Image
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top