日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腸重積を合併した腸管囊腫様気腫症の1例
本郷 久美子山本 聖一郎高野 公徳葉 季久雄中川 基人
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2022 年 55 巻 2 号 p. 124-131

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抄録

症例は28歳の男性で,前日から続く腹痛,嘔吐を主訴に当院を受診し,採血検査で炎症反応の軽度上昇を認めた.CTでは回盲部から上行結腸が横行結腸へ入り込んでいる腸重積の所見を認めた.成人腸重積として腸重積解除目的に腹腔鏡下に手術を開始したが重積の整復は困難であり,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.画像,手術所見より腸管囊腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis;以下,PCIと略記)と診断,これを遺残させない位置で,腸管を切離した.検体を確認すると,粘膜下に多発する気腫性囊胞を認め,その部分が先進部となり重積を呈したと考えた.術後経過は良好で術後7日目に退院した.PCIは画像的特徴をとらえて早期に診断することで,酸素療法を含めた保存的治療の選択肢がありうる.一方,手術で病変部を切除することは根治性と治療期間において有効性が高く,リスクの低い症例では推奨される.

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