日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
乳癌術後6年後に閉塞性黄疸を契機に発見された乳癌十二指腸乳頭部転移の1例
森山 穂高浅井 浩司渡邉 学鯨岡 学渡邉 隆太郎榎本 俊行二渡 信江岡本 康横内 幸斉田 芳久
著者情報
ジャーナル オープンアクセス HTML

2023 年 56 巻 1 号 p. 1-9

詳細
抄録

症例は72歳の女性で,左乳癌の診断で左乳房切除術を施行し,最終病理結果は浸潤性小葉癌の診断であった.乳癌手術から6年後に黄疸を認め,腹部造影CTにて十二指腸乳頭部に径19 mm大の腫瘤影を認めた.病理組織学的検査所見で異型細胞を認め,非露出型十二指腸乳頭部癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的検査所見で十二指腸乳頭部に境界明瞭な結節性病変を認めた.乳癌と類似した組織形態を呈し,免疫染色検査の結果,乳癌の十二指腸乳頭部転移と診断した.術後の経過観察中に子宮転移を認め,全身化学療法を施行したが,その後に腹膜播種と脳転移を認め膵手術から11か月後に永眠された.乳癌の消化管転移については報告が散見されるが,十二指腸乳頭部転移は極めてまれである.今回,乳癌手術から6年後に閉塞性黄疸で発症した十二指腸乳頭部転移の1切除例を経験したので報告する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top