日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
56 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
会告
症例報告
  • 森山 穂高, 浅井 浩司, 渡邉 学, 鯨岡 学, 渡邉 隆太郎, 榎本 俊行, 二渡 信江, 岡本 康, 横内 幸, 斉田 芳久
    原稿種別: 症例報告
    2023 年56 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2023/01/01
    公開日: 2023/01/28
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    症例は72歳の女性で,左乳癌の診断で左乳房切除術を施行し,最終病理結果は浸潤性小葉癌の診断であった.乳癌手術から6年後に黄疸を認め,腹部造影CTにて十二指腸乳頭部に径19 mm大の腫瘤影を認めた.病理組織学的検査所見で異型細胞を認め,非露出型十二指腸乳頭部癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的検査所見で十二指腸乳頭部に境界明瞭な結節性病変を認めた.乳癌と類似した組織形態を呈し,免疫染色検査の結果,乳癌の十二指腸乳頭部転移と診断した.術後の経過観察中に子宮転移を認め,全身化学療法を施行したが,その後に腹膜播種と脳転移を認め膵手術から11か月後に永眠された.乳癌の消化管転移については報告が散見されるが,十二指腸乳頭部転移は極めてまれである.今回,乳癌手術から6年後に閉塞性黄疸で発症した十二指腸乳頭部転移の1切除例を経験したので報告する.

  • 関 貴臣, 鈴木 秀樹, 塚越 律子, 家田 敬輔, 大澤 秀信, 富澤 直樹, 保田 尚邦, 高山 佳泰, 調 憲
    原稿種別: 症例報告
    2023 年56 巻1 号 p. 10-19
    発行日: 2023/01/01
    公開日: 2023/01/28
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    症例は腎細胞癌術後11年目の61歳の男性で,便潜血陽性にてCTを施行し,膵体部と膵尾部および結腸肝彎曲部に腫瘍を認めた.下部内視鏡検査では大腸腫瘍は粘膜下腫瘍様の隆起性多血性病変であり生検では確定診断が得られなかったが臨床経過から腎細胞癌の膵,大腸転移再発と診断し開腹下で膵体尾部兼脾臓合併切除術および横行結腸部分切除術を施行した.術後は膵液瘻を認めその後に限局性腹膜炎,大網壊死,腹腔内膿瘍を発症した.CTガイド下ドレナージを含む保存的加療にて軽快し術後88日目に退院となった.腎細胞癌の大腸転移は極めてまれであり複数臓器の転移を認める場合が多い.治療戦略では外科的切除に加え免疫チェックポイント阻害剤による薬物療法が有効な症例もあり今後は見極めていく必要がある.外科的切除では大腸腫瘍が横行結腸に存在する場合,膵離断面と大腸吻合部が近接し,膵液瘻と感染の関連に寄与する可能性があり注意が必要である.

  • 竹元 小乃美, 江本 慎, 本間 重紀, 吉田 雅, 市川 伸樹, 松井 博紀, 谷 道夫, 高桑 恵美, 武冨 紹信
    原稿種別: 症例報告
    2023 年56 巻1 号 p. 20-26
    発行日: 2023/01/01
    公開日: 2023/01/28
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    症例は57歳の男性で,1年前からの便通異常を主訴に前医を受診した.直腸癌多発肝転移肺転移と診断され,当科で腹腔鏡下低位前方切除術を施行したが,air leak test陽性のため双孔式回腸ストマを造設した.術後10日目より回腸瘻からの排便量が1日2,000 ml以上となった.止痢薬は奏効しなかったが,術後20日目キシリトール含有の飴を1日12個(キシリトール15.5 g)摂取していたことが判明し,摂取を中止すると回腸瘻からの排便量が1日300~500 ml程度に改善した.キシリトールは人工甘味料の一つで,飴やガムなどに幅広く使用されている.キシリトールには腸管から吸収されにくい性質があり,多量摂取により下痢を誘発することが報告されている.回腸人工肛門造設状態の患者において,人工甘味料がhigh output症候群の原因なりうる可能性を念頭に置く必要がある.

  • 土橋 果実, 三宅 亨, 前川 毅, 植木 智之, 小島 正継, 清水 智治, 貝田 佐知子, 飯田 洋也, 日野 倫子, 九嶋 亮治, 谷 ...
    原稿種別: 症例報告
    2023 年56 巻1 号 p. 27-33
    発行日: 2023/01/01
    公開日: 2023/01/28
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    症例は37歳の男性で,腹部膨満,食思不振,体重減少で前医を受診された.当院に紹介となり,CTで多量の腹水と下行結腸腫瘍,腹膜播種を認め,下部消化管内視鏡検査で下行結腸に不整な隆起を伴う全周性の1型腫瘍を認めた.PET-CTで下行結腸腫瘍,鎖骨上窩・縦隔・傍胸骨・腹膜・大網にFDGの集積を認めた.下行結腸腫瘍の生検で確定診断に至らず,審査腹腔鏡を施行した.免疫染色検査でNUT陽性,FISH法でNUT遺伝子の再構成を認めnuclear protein in testis midline carcinomaと診断した.多剤併用化学療法を施行したが,急速な病状の進行により初診から約6か月で永眠された.Nuclear protein in testis midline carcinomaは遺伝子異常を有する非常にまれな疾患である.疾患特異的な組織像がなく進行期で発見されることが多い.現時点で効果的な治療法は確立しておらず,今後も症例の蓄積と検討が必要である.

  • 甲津 卓実, 伊藤 達雄, 安宅 亮, 多賀 亮, 松林 潤, 中山 雄介, 池野 嘉信, 北口 和彦, 豊田 英治, 廣瀬 哲朗
    原稿種別: 症例報告
    2023 年56 巻1 号 p. 34-41
    発行日: 2023/01/01
    公開日: 2023/01/28
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    上行結腸癌術後3年で左精索転移を来した1例を経験したので報告する.症例は75歳の男性で,72歳時に上行結腸癌に対し結腸右半切除術を施行した.最終診断はpStage IIbであり,術後補助化学療法を行い経過観察中であった.術後3年経過時に左鼠径部膨隆を自覚し,CTで左精索腫瘍が疑われた.診断的治療として左高位精巣摘除術を行った.病理診断では管状腺癌を認め,上行結腸癌の精索転移として矛盾しない所見であった.術中所見より局所再発の可能性が危惧されたため局所放射線療法を行い,再発予防のため化学療法を導入した.大腸癌の精索転移は非常にまれであり,予後不良とされる.異時性転移では再発までの期間が比較的長く,無症状であることもあり診断に遅れが生じる可能性もある.悪性腫瘍患者において鼠径部膨隆を認めた際は,まれであるが精索転移の可能性も念頭におき,診療すべきと考える.

  • 木村 直也, 平木 将紹, 古賀 浩木, 明石 道昭, 神谷 尚彦, 鮫島 隆一郎
    原稿種別: 症例報告
    2023 年56 巻1 号 p. 42-51
    発行日: 2023/01/01
    公開日: 2023/01/28
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    神経内分泌腫瘍(neuroendocrine neoplasm;以下,NENと略記)が骨盤内に原発するものは非常にまれである.今回,我々は仙骨前面領域に発生したNENに対し,外科的切除を施行した.症例は69歳の女性で,7年前より囊胞成分を伴う仙骨前面領域の骨盤内腫瘍を指摘されていた.CTやMRIなどの画像検査では神経原発性腫瘍が疑われ,緩徐な増大傾向にあるため悪性の否定はできず,診断的治療を目的として,腹腔鏡下に骨盤内腫瘍切除を施行した.病理組織診断の結果はneuroendocrine tumor(NET)G1であり,仙骨前面領域に原発したものと考えられた.術後1年4か月,無再発で生存中である.NENはリンパ節転移や遠隔転移を伴うことが知られており,また切除後の再発率も比較的高い.そのため,仙骨前面に発生した腫瘍に対してはNENも鑑別に挙げ,外科的切除も検討するべきである.

編集後記
feedback
Top