日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
鈍的腹部外傷を契機に発見に至った未治療Crohn病の1例
土佐 明誠小野山 裕彦坂井 昇道千代 孝夫國安 弘基
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キーワード: 鈍的外傷, 腸管破裂, Crohn病
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2023 年 56 巻 7 号 p. 393-400

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抄録

症例は23歳の男性で,モトクロス競技中にハンドルで腹部を打撲し搬送された.腹部所見で腹部全体に圧痛を認め,CTで腹水貯留とfree airがみられた.外傷性腸管穿孔の診断で緊急手術となった.開腹所見では結腸の分節的な腸管肥厚を認め,肥厚の少ない部分で横行結腸が破裂しており,結腸部分切除術(横行結腸)+横行結腸人工肛門造設術を施行した.切除標本所見では腸管粘膜側にcobble stone appearanceがみられ,比較的腸管肥厚の少ない部分で破裂していた.病理組織学的所見で散在する非乾酪性類上皮細胞性肉芽種と全層性の炎症細胞の浸潤およびリンパ濾胞の形成を認めた.以上より,Crohn病を伴う外傷性横行結腸破裂と診断した.Crohn病の外傷性腸管穿孔症例の報告は本邦では小腸例のみであり,結腸破裂の報告は本例が最初である.今回,腹部鈍的外傷により結腸破裂に至ったCrohn病の興味深い症例を経験したので報告する.

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