抄録
食道癌のため食道再建術を施行された患者の代用食道の臨床, 病態生理を明らかにするため胃管再建15例, 有茎結腸再建12例それに膵脾合併胃全摘10例を対象に種々の検索を行い, 術後に及ぼす影響を比較検討した.その結果, 再建された胃管の外分泌能をtetragastrin 4μg/kg刺激による胃液検査, 内分泌能をtest mealによるgastrin releaseでみると胃管は幹迷切の影響を考慮に入れても, 分泌能はある程度保持されていた.術後の50g糖同化試験, 鉄代謝, ビタミンB12値, 栄養指数は再建別による差異は認められず, また著明な障害を呈した症例は認められなかった.形学的にみると臓器の固有性は著しく消失することはないと思われた.