日本消化器外科学会雑誌
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急性胃粘膜出血に対する外科治療について
とくに胃全摘術の経験とその考察
安藤 健一宮路 重和香月 武人豊島 里志
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1979 年 12 巻 11 号 p. 867-872

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抄録
最近, 吐血・下血を主訴とする上部消化管大量出血の30例を経験した.そのうち, 急性胃粘膜病変 (びらん性出血性胃炎・急性胃潰瘍) に起因する出血が10例で, 8例は保存的治療で止血したが, 2例は断続的吐血・下血を繰り返し, 胃全摘術で救命し得た.病理組織学的には, 出血性びらんが胃粘膜全域に多発し, 病変の主座は粘膜および粘膜下層にあり, 粘膜表面のびまん性出血と粘膜下層のうっ血が特徴的であった.手術療法は, 単純胃切除術 (部分切除・亜全摘), 迷切付加胃手術 (幽門形成・部分切除・亜全摘), 胃全摘術など多岐にわたり, 統一見解はない.文献上胃全摘術の成績が良好であるが, 無胃性障害を考慮する時, 検討の余地が残されている.
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