抄録
われわれは26歳男性で胃潰瘍にて胃部分切除を行い, 術後の標本検索にて胃と交通を有し管状の形態を示す副胃の合併例を経験したので報告した.副胃は胃前庭部前壁側から小弯側にかけて小鶏卵大程の大きさでみられたが, 管腔の粘膜は近位2/3は幽門部粘膜に被われ, 遠位1/3は十二指腸粘膜に被われている非常に稀有な症例であった.
われわれの集計しえた本邦の副胃報告例は26例で文献的考察をおこなったが, 10歳以下の症例が11例を占めていた.好発部位は前庭部大弯側で, 形態的には嚢状のものが大多数であった.各臓器と交通を有するものは4例でそのうち3例は管状例であった.