1981 年 14 巻 3 号 p. 471-482
イレウスの重症度評価に関し, 臨床生化学的指標を見い出すため, 絞扼性イレウス作成犬で実験を行った.その結果, 有用と思われた血糖値と白血球数につき臨床的研究も加え, 血糖値のもつ意義, とくに手術適応との関連について検討した.血糖値は生体に加わった侵襲の程度をよく反映しており, また, 白血球数は血糖値ほど鋭敏ではないが同じく手術適応の1指標になりうると考えられた.血糖値はその他, 腹膜炎でも重症ほど異常値を示し, 術前, 術後や重症度を判断するにも有効であると思われた.イレウスの場合, 白血球数12,000±2,000/mm3以上, 血糖値174±41mg/dl以上の場合は一応手術にふみきってよいと考えられた.