抄録
迷切後の母体の高ガストリン血症が, 胎仔の胃発育に対してどのような影響をおよぼすか, さらに, ガストリンの胎盤通過性についても検討を加えた. 胃重量, 胃重量体重比および胃組織内DNA, RNA content, d TMP kinase活性では, control群に較べて迷切群の新生仔に増加傾向を認めた. しかし, 組織学的には著明な差はみられなかった. 胎仔血清ガストリン値に関しては, 分娩4日前では両群とも母体より明らかに低値を示したが, 一部胎盤を通過しているものと考えられ, 迷切群の胎仔で高値を示した. 一方, 分娩1日前および直後では両群とも通過していないものと思われた. また母体の高ガストリン血症は, 胎仔のG-cellの発育に抑制的に働いている可能性も示唆された.