胃癌35例と大腸癌25例を対象として, 細胞分裂阻止法stathmokinetic methodにより両癌腫の癌細胞分裂能 (癌細胞分裂指数・癌細胞分裂指数比ならびに癌細胞産生率) を測定して対比するとともに, 種々の臨床病理学的所見との関連性を検討した.
癌細胞分裂能は癌径・深達度・stage・組織型など癌腫の状態で変化してことを示すと同時にcellkinectiesからみて両癌腫は癌腫として共通の現象が存在しているが, 胃癌は大腸癌よりも2.1~3.6 (平均2.9) 倍高い癌細胞分裂能を有していることを示した. この胃癌と大腸癌の癌細胞分裂能の差が両癌腫の悪性度や発育速度の差に関与している可能性について, 文献的に考察を加えた.