日本消化器外科学会雑誌
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胃癌肝転移症例のnatural historyよりみた検討
高橋 豊磨伊 正義秋本 龍一
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1983 年 16 巻 12 号 p. 2067-2073

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抄録

癌の悪性度の指標として, 癌の発育速度は重要な因子である. 今回AFP産生胃癌において, 胃切除後残存肝転移巣とともにAFP値が対数的に上昇する事に注目したところ, AFP値の推移により肝転移巣のダブリングタイムが計算可能であった. このダブリングタイムと各症例の予後とを比較したところ, ダブリングタイム13日の症例は予後が2ヶ月, 15日の2症例はいずれも3ヶ月半, 23日の症例は10ヶ月半と, ダブリングタイムが短い程予後が悪いという興味深い結果となった. さらにダブリングタイムにより, 肝転移発生時期を推定したところ, 胃原発巣の大きさが5cm以上になると, 肝転移巣が出現する頻度が高くなると予想された.

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