日本消化器外科学会雑誌
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マイクロ波メスの肝手術への応用
竜 崇正渡辺 義二尾崎 正彦山本 宏長島 通有我 隆光山本 義一碓井 貞仁小高 通夫佐藤 博
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キーワード: マイクロ波, 肝癌, 肝切除
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1983 年 16 巻 12 号 p. 2074-2080

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抄録

マイクロ波メスとはマイクロ波組織凝固装置の一般名であり, 最近登場した新しい手術機器である. マイクロ波メスの肝組織に対する組織学的変化, および肝手術に対する有用性について検討した. マイクロ波メス80W60秒で肝は径1.5cmの範囲で凝固される. その組織所見は針状電極刺入部位は炭化するがその範囲は狭く, 全体的に肝小葉構造およびsinusoidの消失, 肝細胞境界が不明瞭となり互いに密着した細胞集団となっている. そして中の直径3mm程度までの血管は壁の構造もよく保たれ内腔に血栓形成をみとめる. マイクロ波メスを用い11例に肝切除を施行し, 最少の出血で安全に肝切除が施行でき非常に有用であった. また切除不能肝癌3例に対して凝固療法を施行したが, 切除不能例に対する新しい治療法となると思われた.

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