日本消化器外科学会雑誌
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カプセル法食道擦過細胞診の改良工夫と食道癌診断能の検討
李 思元
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1983 年 16 巻 9 号 p. 1606-1614

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抄録

食道癌の診断にカプセル法食道擦過細胞診を用いてきたが, 器具は改良の結果エバーライトスコットHRY 06からなる25mm 3号刷子が適当である.本法の細胞採取能および食道癌のX線型別成績について検討した.25mm 3号刷子では10万個を越える食道扁平上皮細胞が採取できる.これは, 径2cmの食道癌を想定した場合, 1,740個の癌細胞が採取できる計算になり, 小さい癌に対しても高い診断能が期待できる.
当教室患者371名に本法を施行したが, 合併症は認めない.食道癌100例の成績は陽性75例 (75.0%), 疑陽性19例で, 陽性と疑陽性を合せた診断率は94.0%である.X線型別成績ではラセン型, ロート型よりも表在型, 腫瘤型, 鋸歯型の食道癌に高い陽性率を示した.早期食道癌10例では8例 (80.0%) が陽性であった.

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