日本消化器外科学会雑誌
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食道癌の癌先進部におけるリンパ球浸潤の臨床的検討
塩崎 均水谷 澄夫岡川 和弘上野 和寿韓 成珍小林 研二神前 五郎
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1983 年 16 巻 9 号 p. 1615-1621

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抄録

食道癌の癌先進部周辺にみられるリンパ球浸潤の程度が, 術後の予後・再発形式・性別とどのような関係にあるかを検討した.対象は昭和44年1月から昭和56年12月の間に教室で切除された食道癌症例のうち, 治癒切除が行なわれた108例である.リンパ球浸潤の程度を± ~ 卅の4段階に分類した.卅群の累積5年生存率は57.3%であり治癒切除例のそれの34.3%に比べ非常に良好であった.再発形式との関係では, ± 群は全例が血行性再発死亡であったが卅群では14.3%にすぎず, リンパ行性再発が71.4%を占めた.また性別では, リンパ球浸潤の多い (++, +++) 群が男性では42.3%, 女性では71.0%を占め, この点からも女性の予後の良好なことが示唆された.

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