1983 年 16 巻 9 号 p. 1638-1644
胃癌において酵素抗体法による癌組織CEA染色性と予後との関係をみるために, 胃癌治癒切除162例について検討した.
検索162例中CEA陽性癌は92例 (56.8%) であった.予後を累積5年生存率で比較するとCEA陽性癌46±6%, 同陰性癌69±6%であり前者に有意に低率であった.stage別にみるとstage II・III胃癌でCEA陽性癌32±7%, 同陰性癌70±7%と前者に有意に低率であった.組織型別にみると高分化癌でCEA陽性癌47±9%, 同陰性癌92±5%であり前者に有意に低率であった.この原因として肝再発.腹膜再発ともCEA陽性癌に多かった事が考えられた.
以上, 胃癌における癌組織CEA染色陽性は予後不良の指標になりうると考えられた.