抄録
過去10年間の大腸癌患者280例を70歳以上の高齢者群67例 (24%) と70歳未満の非高齢者群213例 (76%) とに分けて, 臨床病理学的特徴, 合併症および予後の面から検討した.
臨床病理学的には非高齢者群でリンパ節転移をきたすものが多く認められたが, ほかには差がなかった.合併症では, 術前合併疾患を有する率が高齢者群で39例 (58.2%) と有意に高く, またそのような例では術後にも合併症を発生する率が高かった.予後においては両群間に差はなく, また術後合併症の有無による差もなかった.以上より, 高齢者といえども積極的に根治術を行い, 術後の合併症に対しても積極的に治療することにより, 良好な予後がえられると結論された.