1987 年 20 巻 9 号 p. 2122-2129
70%肝切除犬を作成し, 肝切除後6時間, 2日, 4日, 1週, 2週で, 門脈内糖負荷を行い, 肝と末梢組織におけるインスリンのとりこみと糖の出入りを糖負荷前と糖負荷時で検討し, 以下の成績を得た.1) 肝のインスリン摂取率は, 肝切除後2日間で低下し, 4日以後上昇した.門脈内糖負荷による影響をみると, 肝切除後2日においてのみ上昇がみられた.2) 肝切除前後において, 糖は肝で一定量放出されていた.門脈内糖負荷時には, 肝切除後2日間は放出のままで, 4日以後は肝切除前と同じくとりこみを示した.以上より, 肝にとって, インスリン投与は肝切除後2日では有用であり, 糖過剰投与は肝切除後2日間は無意味ではないかと考えられた.