日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
広範肝切除後のブドウ糖とインスリンの投与に関する実験的研究
難波 康男
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 20 巻 9 号 p. 2122-2129

詳細
抄録

70%肝切除犬を作成し, 肝切除後6時間, 2日, 4日, 1週, 2週で, 門脈内糖負荷を行い, 肝と末梢組織におけるインスリンのとりこみと糖の出入りを糖負荷前と糖負荷時で検討し, 以下の成績を得た.1) 肝のインスリン摂取率は, 肝切除後2日間で低下し, 4日以後上昇した.門脈内糖負荷による影響をみると, 肝切除後2日においてのみ上昇がみられた.2) 肝切除前後において, 糖は肝で一定量放出されていた.門脈内糖負荷時には, 肝切除後2日間は放出のままで, 4日以後は肝切除前と同じくとりこみを示した.以上より, 肝にとって, インスリン投与は肝切除後2日では有用であり, 糖過剰投与は肝切除後2日間は無意味ではないかと考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top