1987 年 20 巻 9 号 p. 2168-2177
大腸癌73例を中心に, 血中CEA値を規定する因子として組織CEAを定量し, 同時にポリクローナル抗体とモノクローナル抗体による免疫組織染色で検討した.高中分化腺癌に比べて分化度の低い癌では組織CEA含量が少なく, 染色性も低下し, 血中CEA値も低かった.また高中分化腺癌でも組織CEAの染色性が低下している例では血中CEA値が低く, 経過観察の指標としてのCEAの価値は低いと考えられた.原発巣と転移巣では組織CEA含量および染色性の差を認めなかった.モノクローナル抗体によるCEAの組織染色は, 血中CEA値との相関性, 癌の組織型による染色性の差などの点でポリクローナル抗体による組織染色よりすぐれていた.