抄録
大腸癌患者におけるCEA・IAPの陽性率と臨床病理所見との関連, CEA・IAP値と予後との関連, IAPの免疫能パラメーターとしての意義を検討した. CEAは57.3%(73/127) IAPは52.0%(66/127) が陽性でいずれかが陽性のものは78.7%(100/127) であり, 他の消化器癌に比べても, 高い値であった. CEAは腫瘍径, 進行度, H, n, ly, v因子に, IAPは腫瘍径, H因子に陽性率との間に有意な関連を認めた. CEA: 5ng/mlを超える症例はそれ以下の症例に対し, 術後512日以降の生存率が有意に低下していた.
IAPはB細胞 (%) と負の相関関係を認めた.
CEA・IAP両者の測定は, 癌の存在診断と生特学的悪性度の指標として, また生体の病態把握の面からも臨床的に意義深いと考えた.