日本消化器外科学会雑誌
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DNA ploidy patternからみた早期胃癌の予後
米村 豊杉山 和夫鎌田 徹浦出 雅昭藤村 隆長谷川 啓伏田 幸夫小坂 健夫山口 明夫三輪 晃一宮崎 逸夫
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キーワード: 早期胃癌, 早期胃癌再発
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1988 年 21 巻 8 号 p. 2075-2079

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抄録

早期胃癌100例の細胞核DNA量を解析し, 予後との関係について検討した. DNA ploidy patternはdiploid40例aneuploid60例であった. diploidではsm浸潤率52%, リンパ節転移率18%, リンパ管侵襲陽性率30%, 静脈侵襲陽性率5%とaneuplddの各々, 70%, 46%, 50%, 22%にくらべ, 有意に低率であった. DNA ploidy pattemと予後に関してはdiploidでは, 切除後再発はみられなかった. 一方, aneuploidで深達度sm, 肉眼型が隆起又は混合型では再発が高率にみとめられた. また, aneuploidでもstemlineが多峰性にみられる型の予後は最も不良で23例中7例 (30%) に再発がみられた. リンパ節転移はdiploidでも18%(7/40) にみられDNA ploidy patternのみから縮少手術の決定を行なうことはできないと考えられた. 一方, aneuploidでsm浸潤の可能性があれば十分なリンパ節郭法と術後の化学療法が必要であると考えられた.

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