日本消化器外科学会雑誌
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胃膵同時重複癌の1切除例
鈴木 修一郎津沢 豊一霜田 光義白崎 功山本 克弥中鳴 良作佐伯 俊雄小田切 治世田沢 賢次藤巻 雅夫
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1990 年 23 巻 3 号 p. 767-771

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抄録
胃癌に他臓器癌を合併することは決してまれではない. しかし, その中では際癌との合併は比較的まれであり, さらに両者とも切除しえるのはさらに少ない. 今回, 膵癌胃癌ともに治癒切除をしえた胃膵同時重複癌の1例を経験したので報告する.
症例は56歳, 男性で定期検診をきっかけに胃膵同時重複癌と診断され手術を行った. 手術は胃全摘, 膵陣合併切除をすることにより治癒切除を施行しえ, かつ, 解癌切除後の後方剣離面を中心として術中照射を40Gyかけた. しかし, 術後4か月日に腹膜再発を, 9か月日に癌性腹膜炎にて死亡した.
胃膵同時重複癌で治癒手術を行いえた報告例は自験例を含め9例である. その内, 術前胃膵重複癌と診断したのは4例のみであった. 日常診療や手術に際し常に他臓器癌を念頭におき, 十分な精査治療を行うように心がけるべきである.
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