抄録
膠原病に合併した腹部血管炎による腸管の壊死・穿孔の3例を経験したので報告する.症例1は52歳男性, 症例2は69歳女性, 症例3は46歳女性で原疾患はそれぞれperiarteritis nodosa, rheumatoid arthritis, systemic lupus erythematosusであった.全例激烈な腹痛で発症し, 壊死・穿孔部位は回腸を中心とし, 手術は病巣切除と吻合を行い, 症例1には横行結腸外瘻術も併施した.予後は症例1は縫合不全と壊死・穿孔の再発のため術後12日目に, 症例2は多臓器障害により術後2日目に死亡したが, 症例3は7か月後の現在も生存中である.膠原病に合併した腹部血管炎による消化管の壊死・穿孔は全身の血管炎の部分症状として出現したものであるため, 手術に際し腸管の切除範囲の決定が問題であり, 加えて術後intravenous hyperalimentation, steroid抗生物質などによる全身管理が必要である.