日本消化器外科学会雑誌
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閉鎖リンパ節転移を伴った膵体部小膵癌の1例
水谷 純一高城 克義並川 和男庄嶋 健荒木 啓介山口 哲也
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1990 年 23 巻 7 号 p. 1912-1916

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抄録
閉鎖リンパ節転移を伴った膵体部小膵癌の1例を経験したので報告する.症例は60歳, 女性で, 当院産婦人科で子宮頸癌 (扁平上皮癌) の診断で昭和62年4月17日, 準広範子宮全摘術を受けたが, 小閉鎖リンパ節に組織学的に腺癌を認めた.原発巣の検索のために各種画像診断を行い, 膵体部に小膵癌を認め, 昭和62年6月5日, 膵体尾部切除を行った.膵周囲および大動脈周囲には肉眼的にはリンパ節の腫大を認めなかった.膵腫瘤は大きさ1.8×1.7cmで中分化型管状腺癌の像が優勢で, 閉鎖リンパ節の転移巣の組織像も同じであった.これらの事実は術中の進行度判定の困難性, 小膵癌でしかも拡大手術により広範囲に郭清を行ったとしても, なお遠隔のリンパ節にも転移ある症例が存在することを示しており, 病巣切除の他に術中, 術後の化学療法, 免疫療法などの集学的治療の併用が不可欠であると思われた.
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