日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
Galactose負荷試験よりみた肝切除前後の肝機能の変動
海保 隆宮崎 勝宇田川 郁夫越川 尚男奥井 勝二
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 23 巻 8 号 p. 2064-2073

詳細
抄録
肝細胞質において特異的に代謝されるガラクト-スを用い, 肝切除および非肝切除患者に対して術前後に経時的にガラクトース負荷試験 (以下GaTT) を行い, 肝細胞質機能の面より肝機能評価を行った.
原発性肝癌, 肝硬変 (p<0.001), 閉塞性黄疸 (p<0.01), 転移性肝癌, 胆石症 (p<0.05) 患者において有意のGaTT半減期 (以下GaTT-T/2) の延長を認めた
. GaTT-T/2は肝切除後2~5週で最も遅延し, 6~18週で回復した. また, 肝切除後1週でのGaTT-T/2の値はその後の術後経過をよく反映し, その術前値に対する変化率は肝実質切除率と極めてよく相関 (r=0.799, p<0.001) した.
肝切除前後におけるGaTT-T/2の測定は, 肝細胞質機能の推移を知る手段として極めて有用な方法と考えられるともに, 肝切除後の肝細胞質機能の低下は, 直後より2~5週後が最大となることが示された.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top