日本消化器外科学会雑誌
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肝硬変併存肝細胞癌に対し4回の肝切除を行いえた1症例
安井 元司安藤 修久野崎 英樹遠山 道正片岡 将末永 昌宏
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2231-2235

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抄録
近年肝細胞癌の早期発見に伴い, 肝切除症例が増加している. 一方, 術後の残肝再発も多く, 予後を左右する. 今回われわれは, 肝左葉切除後の残肝再発に対し3回の追加切除を行った症例を経験したので報告する. 症例は53歳・男性でS2からS4に存在する肝硬変併存肝細胞癌に対して肝左葉切除を行い, 約15か月後にS6に残肝再発を切除した. その17か月後S7・S8の再発を右開胸開腹にて切除した. さらに10か月後S6の再発を切除した. 初回手術より5年7か月経過した現在, 健在である. 肝硬変症例は元来癌を発生しやすく切除後注意深い追跡が必要である. Alpha-fetoprotein (AFP) 単独では不十分でultra-sonography (US) ・computed tomography (CT) の組合せが重要である. 再切除に際し肝機能が初回手術時に比べて変化が少ないことが条件で, 癒着剥離操作で大量出血が予想される. したがって丁寧な剥離と十分な視野の確保, 特に開胸による経横隔膜的切除も有用と考える.
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