日本消化器外科学会雑誌
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壁外性に腫瘤を形成し子宮浸潤をきたしたS状結腸癌の1例
武田 晋平多幾山 渉高嶋 成光万代 光一
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2280-2283

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抄録
壁外に腫瘤を形成する特異な進展形式の大腸癌は比較的まれであり, 症例報告を散見するにすぎない.今回われわれは壁外性に腫瘤を形成し, 子宮体部に浸潤をきたしたS状結腸癌の1切除例を経験した.症例は65歳の女性で下血を主訴とし, 注腸透視ではS状結腸に約9cmにわたり軽度の全周性の狭窄と, 腸管の壁外からの圧排が認められた.大腸ファイバーでは, 狭窄部の粘膜は浮腫状で, 生検では悪性細胞は認められなかった.腹部超音波, 下腹部computed tomography (CT) では子宮体部背側にS状結腸および子宮筋層内に浸潤する5cm大の不規則な形状の腫瘤が認められた.手術はS状結腸および子宮, 両付属器を切除した.病理組織学的検査では腫瘤は中分化腺癌の像を呈していた.壁外に腫瘤を形成する大腸癌の注腸透視上の特徴はlong segmentの腸管の全周性の狭窄および腫瘤による腸管の圧排所見とされている.また腫瘤の診断にはCT, 腹部超音波検査が有用であった.
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