1992 年 25 巻 8 号 p. 2061-2068
超音波内視鏡 (EUS) と食道粘膜下造影法による食道癌の深達度診断成績について, 両検査とも施行された20例の食道癌切除症例を対象に比較検討した.全体の深達度正診率 (over all accuracy) は, EUSと粘膜下造影ともに80-3%と同等であった.粘膜下浸潤癌の正診率 (over all accuracy) は, EUSが76.5%, 粘膜下造影が100%と粘膜下造影の方が良好であった.EUSではsm癌3例すべてが過剰診断となり, 使用した探索子 (7.5MHz) の解像力が不十分で, それに加えsm層へmassiveに浸潤していたことが原因と考えられた.a1-3癌の正診率 (over all accuracy) は, EUSが94.1%, 粘膜下造影が70.6%とEUSのほうが良好で, 外膜浸潤の有無の判定能がEUSの方が高かったためと考えられた.しかし外膜へのmicro invasionを示した1例では両検査とも誤診となり, 現時点での診断能の限界と思われた.両検査法を併用すれば, より正確な深達度診断に迫れるものと思われた.