日本消化器外科学会雑誌
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術後補助療法別にみた食道癌術後免疫能の変動
積極的栄養療法の意義
新津 頼一石田 薫木村 慶子岡本 和美村上 弘治寺島 雅典佐藤 信博池田 健一郎前沢 千早根本 ひろ子肥田 圭介斎藤 和好
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2069-2075

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抄録

積極的な栄養管理のもとに, 食道癌術後の補助療法を施行し, 術後の免疫能の推移を検討した.1984年9月から1989年12月までに, 切除術を施行した胸部食道癌151例を対象とした.術後の補助療法は, 頸部上縦隔に50Gyを照射した照射群, CDDP50~75mg/mm2, VDS3mg/mm2を投与した化療群, 頸胸腹部の3領域にわたるリンパ節隔清を行い補助療法は行わない手術単独群, の3群に分け検討した.栄養療法は, 経腸栄養を主体に40Kcal/kgの熱量投与を行った.免疫の各パラメータは, 手術単独群では, 術後4~6週で術前値に回復した.化療群においても, 手術単独群と同様の推移がみられた.一方, 照射群では, 栄養療法の併用にも関わらず免疫能の低下, 特に末梢血リンパ球数, T細胞数, B細胞数, helper T cell, cytotoxic Tcell, NK細胞数の低下がみられた.しかし重篤な感染症の併発もなく, 補助療法の完遂率, 開始病日, 施行期間においては, 満足のいく結果が得られ, 栄養療法の意義を認めた.

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