日本消化器外科学会雑誌
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十二指腸進展の有無による下部胃癌の臨床病理学的特徴と治療成績
竹鼻 敏孝今田 敏夫蓮尾 公篤利野 靖円谷 彰野口 芳一山本 裕司天野 富薫松本 昭彦
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2091-2095

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抄録

幽門輪と胃癌の進行度・予後との関係を調べる目的で, 下部胃癌症例162例を対象にし, 幽門輪に接した, または幽門輪を越えて十二指腸へ進展した胃癌 (幽門輪群) と, 幽門輪から離れた胃癌 (非幽門輪群) との間で臨床病理学的成績を比較・検討した.
その結果, 幽門輪群は非幽門輪群に比べて進行癌の頻度が有意に高かった.リンパ節転移率も幽門輪群で有意に高率であった.しかし予後的漿膜面因子PS (+) 例のみの比較では両群間に差がなかった.
組織学的分化度では両群間に有意な差を認めなかったが, 十二指腸進展例では, 組織型が分化型のものは限局性に, 未分化型は浸潤性に進展する傾向が認められた.
治療成績では治癒切除例の5年生存率は幽門輪群40.7%, 非幽門輪群69.3%で, 幽門輪群で不良であった.しかしps (+) 症例のみに限定すると生存率による差はなかった.

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