日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
リンパ節転移よりみた上部胃癌切除例の検討
三浦 敏夫平野 達雄草野 裕幸中越 享清水 輝久石川 啓川口 昭男宮下 光世下山 孝俊綾部 公懿富田 正雄
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 25 巻 8 号 p. 2083-2090

詳細
抄録

上部胃癌切除294例について, 占居部位・漿膜面浸潤・組織学的壁深達度別に所属リンパ節の転移を検索し, 術式の選択・適応について検討した.切除全胃癌中21.3%を占め, 男女比は2.7: 1, 平均年齢は60.0歳であった.胃癌取扱い規約によれば, Cに限局するものは129例で, 早期癌は15.0%であった.術式は胃全摘214例, 噴切52例, その他28例であった.リンパ節転移は, 早期癌ではn (-) であったが, pmで#2・3に7.7, 30%, ssβで#1・3に40%, #7・9に20%, #6・10・11・13・14に10%, ssγでは#4s・4d・16に37.5, 12.5, 12.5%の転移をみた.Cの漿膜面浸潤と#4d・5・6の転移は, S0S1はn (-) であったが, S2ではそれぞれ2.8, 11.1, 5.6%の転移をきたし, S3では21, 4, 14.2, 7.1%であった.5年および10年生存率は全摘で43.1%, 40.9%, 噴切で32, 5%, 27.5%で, 全摘が優れていたが有意差はなかった.以上より上部胃癌の噴切の適応はS1までのもの, 組織学的にはssγまでにとどまるものである.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top