日本消化器外科学会雑誌
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漿膜下浸潤胃癌 (ss胃癌) の臨床病理学的検討および予後規定因子としてのDNA ploidy pattern
北村 正次荒井 邦佳宮下 薫
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2103-2109

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抄録

漿膜下浸潤胃癌 (ss胃癌) 450例をssα, ssβ, ssγ に亜分類し, 予後, 臨床病理学的特徴ならびにDNA ploidy pattemとの関係を検討した.年齢ではssγ 群に若年層が多く (p<0.05), ssα ・β では手術時ssγ より高い肝転移率を有した (p<0.01).組織型ではssα ・ssβに分化型, ssγ に未分化型を多く認めた (p<0.01).高度なリンパ管侵襲はssγ で高く, 静脈侵襲はssα ・β で高かった (p<0.05).治癒切除例のssα ・β ・γ 間の予後を比較したが, リンパ節転移の有無に関係なく3群間に有意差を認めなかった.再発形式ではssα では肝転移が多く, ssγ では腹膜転移を多く認めた.一方, DNA ploidypatternと予後との関係ではAneuploidy (+) 群の5生率は25.8%で (-) 群68.6%に比較して有意に不良であった (p<0.01).ss胃癌の亜分類は臨床病理学的な特徴を明らかにしたが, 予後を反映しなかった.DNA ploidy patternはss胃癌の予後規定因子となる可能性を示した.

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