日本消化器外科学会雑誌
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胃癌における脾動脈幹リンパ節転移の検討
岡野 晋治沢井 清司山口 正秀清木 孝祐谷口 弘毅萩原 明郎山口 俊晴高橋 俊雄
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2110-2117

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抄録

組織学的リンパ節転移を認めた切除胃癌541例を対象とし, 脾動脈幹リンパ節 (No.11) 転移陽性胃癌の成績向上策について検討した.(1) 胃上中部癌ではNo.1, 4sa, 4sb, 7, 8a, 10のいずれかに転移があるときには, No.11転移率が高かった.このような症例に対しては積極的に膵脾合併切除による胃全摘を行うのが妥当であると考えられる,(2) 胃下部癌でNo.6またはNo.14Vに転移があるときNo.11転移陽性率が高く, 胃亜全摘で可能な範囲のNo.11郭清が必要と考えられる.(3) 胃全体癌の17例 (25.4%), 全周性胃癌の22例 (23.2%) にNo.11転移が認められた.(4) いずれの占居部位でもNo.11陽性例のNo.16転移率は高かった.(5) 胃上中部癌および全体癌ではn2, 胃下部癌ではn3と, 転移程度を揃えて比較してもNo.11転移陽性例は陰性例と比べ生存率が不良であった.(6) 転移経路に応じた確実なNo.11郭清とNo.11陽性例にたいする積極的なNo.16郭清が予後の向上につながると考えられた.

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