日本消化器外科学会雑誌
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S状結腸癌と重複してみられた胃内分泌細胞癌の1例
中本 光春川口 勝徳中江 史朗西尾 幸男裏川 公章五百蔵 昭夫植松 清藤盛 孝博
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2171-2175

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抄録

胃内分泌細胞癌は悪性度が高く予後不良とされている.今回S状結腸癌と重複してみられた胃内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は79歳男性で, 空腹時心窩部痛を主訴に精査したところ, 胃幽門前庭部の巨大な2型の腫瘍とS状結腸の1'型の腫瘍を発見し, 胃とS状結腸の同時性重複癌の診断で手術を施行した.S状結腸は術前診断通り, pmに達する高分化型腺癌であった.胃の腫瘍は組織学的に小型から中型の異型細胞がシート状に配列しび漫性に増殖していた.腫瘍細胞密度は高く, 核は多形性に富み, N/Cは高く, クロマチンの増量もみられた.特殊染色の結果, Grimelius染色陽性, NSE陽性, CEA陰性であったことより, 胃内分泌細胞癌と診断した.深達度ssβ, INFβ, ly3, v3, H0, P0, n0であった.術後経過は良好であったが, 14か月目に巨大な肝転移が発見され, 17か月目に肝不全で死亡した.

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