日本消化器外科学会雑誌
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胃平滑筋肉腫の被覆粘膜上に発生した早期胃癌の1例
松本 欣也国延 浩史大田垣 純嶋本 文雄
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1992 年 25 巻 8 号 p. 2166-2170

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抄録

過形成性ポリープより発生したと思われる早期胃癌を合併した胃平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.症例は66歳男性.全身倦怠感および黒色便を主訴に当院受診し, 血液検査にて高度の貧血を認めた.上部消化管造影および胃内視鏡検査にて胃体中部後壁に正常粘膜で覆われた直径5cm大の半球状隆起性病変とその直上に赤色調ポリープ様病変を認め, 胃平滑筋肉腫を疑い, 胃亜全摘術施行した.組織学的には粘膜下腫瘍は平滑筋肉腫で, ポリープ様病変は過形成性ポリープであり, 大部分が異型上皮組織で占められその一部に癌化を伴っていた.また, 2つの病変部は互いに独立して存在していた.過形成性ポリープより発生した早期胃癌を合併した胃平滑筋肉腫の報告例は本邦では他になく, 過形成性ポリープ癌化の形態発生においても興味ある症例と思われた

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